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新型コロナウイルス感染拡大に対する理事長談話「いま寺院の果たすべき役割」

2020年5月7日

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いま寺院の果たすべき役割
ー強く、人々に優しくあることをー

 2020年4月7日に7都府県に対し緊急事態宣言が発令され16日に全国に及びました。さらに5月7日から31日まで緊急事態宣言が延長されました。私たちはいま大きな社会環境変化の中で日々不安な生活を送っています。日本だけでなく世界的に新型コロナウイルス感染症により多くの方々が亡くなっています。ご逝去された方々に衷心より哀悼の意を捧げ、感染された方々とそのご家族やご関係の皆さまに心よりお見舞い申しあげ、一日も早いご本復をお祈りいたしております。そして、最前線にたつ医療従事者の方々、日常生活を維持するために働かれている方々に対し深く感謝申しあげます。

 緊急事態宣言による宗教活動自粛の要請を受け、全日本仏教会では4月20日より全国の寺院や檀信徒・門徒の皆さまに向け、この自粛による影響についてのアンケート調査を実施しております。その回答には、寺院が早い段階で法要や年中行事を延期または中止し、多くの方々が集まることによる感染を防ぐ対策(3密を避ける)を講じていること、それにより寺院の適正な管理運営に影響が生じ、寺院の歴史に終止符を打たなくてはいけない状況がみえること、宗教的な文化や儀式、習慣などが根底から変化してしまう恐れに不安を抱いていることなど、様々な切実なるご意見が寄せられております。

 いま私たちは戦後最大の国難ともいえる状況に直面しています。しかし過去の歴史を振り返ると、幾多の困難にあっても互いに寄り添い乗り越えてまいりました。いまこそこの法燈をつないできた礎を思い起こし、この苦難に立ち向かう力にしたいと思います。今一度、寺院は檀信徒や門徒、地域の人々のための存在であること、また苦難にある人々をお支えする役割があることを思い起こして、感染者やエッセンシャルワーカーの方々が偏見差別の対象とならぬよう最大限の配慮をしつつ、思いやりをもって行動に移すことが求められております。

 寺院と檀信徒や門徒、地域の皆さまと共に力を合わせてこの困難を乗り切り、穏やかな日常生活を一日も早く取り戻すことが出来ることを祈念いたしております。

 強く、人々に優しくあることを信じて。

令和2年5月7日
公益財団法人 全日本仏教会
理事長 釜田隆文

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